当事務所の弁護士も加入している法律家三団体が、共謀罪法案の強行採決に抗議し、共謀罪法の廃止を求めて共同声明を発表しました。以下、全文を掲載します。
「テロ等組織犯罪準備罪」いわゆる共謀罪法案を
強行採決によって制定したことに強く抗議し、その廃止を求める
2017年6月16日
青年法律家協会北海道支部 支部長 田 中 貴 文
日本労働弁護団北海道ブロック 代 表 伊 藤 誠 一
自由法曹団北海道支部 支部長 佐 藤 哲 之
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2017年6月15日未明、政府は、東京オリンピック・パラリンピック開催のためのテロ対策に必要不可欠という「テロ等準備罪」、いわゆる共謀罪の創設を含む法案を参議院本会議で強行採決し、法を成立させた。
党派的利益を国民権利の上に置いた暴挙ともいうべき採決方法によってであり、会期末ぎりぎりに、委員会審議を阻害して中間報告を行った上での、本会議採決であり、過去に例を見ることのない立法制定手続きの名に値しない異常なやり方であった。
2
この共謀罪の問題点については、既に繰り返し指摘されていたところであり、なおかつ、本年4月6日の衆議院での審議以降も、問題点の指摘が繰り返し続いた。これは、法案の内容が、憲法19条思想信条の自由、同20条信教の自由、同21条結社を侵害することの当然の帰結であった。
北海道新聞社が、本年5月26日から28日にかけて、全道世論調査を実施したところ、共謀罪の創設に反対の回答が59%に上り、賛成の34%を大きく上回り、さらに、政府の説明が十分だと思わないとの回答は85%に達したという。
政府側の答弁を聞けば聞くほど、市民は不安と疑問を大きくしたということであろう。
すでに、この法案が東京オリンピック・パラリンピックの開催とも、テロ対策とも全く関係のないことが国会の審議を通して明らかになっている。
しかし、政府、そして、与党は、このような市民の不安と疑問に何ら答えることなく、本国会で成立させるとの目的を実現するためだけに、強行採決を行ったのである。
3
多数決原理は、民主主義の基本的なルールである。しかし、それは、少数意見の尊重を内包したものであって、徹底した議論を経ることが前提になっている。
これを無視して、単に多数決で決するというのは、"多数の横暴"でしかなく、民主主義そのものの否定であるといわざるを得ない。
また、憲法は、個人の尊厳の実現のため、多数決でも奪うことのできない価値を守ろうとしている。
今般の共謀罪の採決手続を見ると、政府与党は、このような民主主義のルール及び個人の尊厳の実現を目的とする憲法の価値を否定するものと言わざるを得ない。
民主主義を否定するこうした政治のあり方がファシズムを招き、悲惨な戦争を惹起させた事実は、歴史が物語っている。
このように、この共謀罪は、その内容において憲法の価値を侵害するだけでなく、その成立手続きにおいても憲法を踏みにじるものに他ならない。
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私達法律家三団体は、憲法の理念の実現をそれぞれの団体設立の目的とするものであるが、今般の憲法の破壊、民主主義の否定そのものである共謀罪法の制定に、満身の怒りを込めて、これに抗議し、その廃止を求めて活動する。
そして、これ以上の憲法の否定を許さず、第2次安倍政権の発足後進められた全ての憲法破壊の立法を廃止させ、適用を許さない決意で、全力で闘うことをここに誓う。
以上
印刷用PDF https://www.hg-law.jp/file/170616kyoubouzasanndanntai.pdf
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