佐藤博文の特定秘密保護法に関するコラム記事が、2014年1月24日付毎日新聞「北メール」のコーナーに掲載されました。
以下、コラム全文を紹介いたします。
許すな「秘密結社」
安倍内閣は、昨年12月6日、大多数の国民が反対か、慎重審議を求めた特定秘密保護法を強行成立させた。
特定秘密保護法は、①外交②防衛③スパイ④テロに関する「わが国の安全保障に関する情報」を漏らした場合、最大懲役10年の重罰を科し「国家秘密」を保護する。
これは、1つの法律の制定に止まらない。国家と国民の関係を180度転換するものである。本来、国家の情報は、国民が平和で安全で豊かな社会を作るための共有財産であり、その重要な一部を政府が取り上げることになる。
司馬遼太郎は「この国のかたち(一)」の6章「秘密の中の“国家”」で次のように記した。「一握りの人間たちが、秘密を共有し合った以上は、秘密結社としか言いようがないが、困ったことに参謀本部は堂々たる官僚による機関なのである。その機関が、憲法を私議し、私的に合意して自分たちの権能を“憲法外”としている以上は、帝国憲法による日本帝国の中に、もう1つの国があったことになる」
政府が国民に対する“秘密結社”となったとき、国民を蔑ろにした軍事国家・情報統制・侵略戦争への道が始まった。いま経済の分野でTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉が同じである。交渉経過も内容も秘密とされ、政府(の一部)のみが知る。
日本国憲法と国民のチェックを受けることがない、政府という巨大な「秘密結社」の誕生を許してはならない。特定秘密保護法は廃止するしかない。
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佐藤博文(さとう・ひろふみ)
更別村出身。59歳。
1988年札幌弁護士会登録。
日弁連憲法委員会副委員長、
札幌弁護士会秘密保全法制対策本部事務局長
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