地域司法対策委員会について
弁護士の川上有です。
前回、私のコラムで弁護士会の委員会活動ということを取り上げました。今回は、私が現在、委員長をしている地域司法対策委員会の活動を紹介しようと思います。
さて、地域司法対策委員会とは、弁護士不在地域を中心とする札幌以外の住民の方々が、法律問題で困ったときにどうやって弁護士にアクセスすることができるようにするか、その方策を立てるというのが主な役割です。
ということになると、まず、札幌弁護士会のエリア(札幌地方裁判所の管内)の自治体の状況と、弁護士の開業状況を把握する必要があります。
そこで、皆さんにクイズを出します。
じゃーん、「司法過疎地統計クイズ!!」(かなりマイナーな内容)
(人口については、平成23年3月末の住民基本台帳によります)
1 札幌弁護士会(札幌地方裁判所)管内の自治体数は( )です。
注:北海道には4つの弁護士会・地方裁判所があります。札幌、旭川、釧路、函館です。
札幌弁護士会のエリアは、石狩、空知(北空知ほか一部を除く)、後志(一部を除く)、胆振、
日高です。
2 このうち、人口100万人以上の自治体数は( )です。
その自治体名は( )です。
3 1のうち、人口10万人以上の自治体数は、( )です。
その自治体名は( )です。
そのうち、最も人口が多い自治体名は、( )です。
4 1のうち、人口5万人以上の自治体数は、( )です。
その自治体名は( )です。
5 1のうち、人口3万人以上の自治体数は( )です。
6 1のうち、人口1万人未満の自治体は、( )です。
7 最も人口の少ない市は( )で、人口は約( )人です。
8 最も人口の少ない自治体は( )で約( )人です。
9 1のうち、平成13年の人口に比べ平成23年の人口が増加した自治体数は( )です。
そのうち、合併によらずに人口が増加した自治体が、( )で、その自治体名は、( )です。
10 1のうち、平成13年の人口と比べ平成23年の人口が10%以上減少した自治体数は、
( )です。
11 1のうち、弁護士が事務所を置く自治体数は( )です。
12 人口3万人以上で、弁護士事務所のない自治体数は( )で、自治体名は、( )です。
13 弁護士不在自治体数は、( )です。
解答
1問 61
2問 1、札幌市
3問 3、苫小牧市、小樽市、江別市、苫小牧市
4問 7、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、室蘭市、登別市
5問 2
6問 31
7問 歌志内市 4000人
8問 神恵内村、1000人
9問 9、6、札幌市、千歳市、恵庭市、石狩市、苫小牧市、ニセコ町
10問 34
11問 17
12問 1、石狩市
13問 44
さて、どのくらい分かりましたか。
正解率5割に達した方は、札幌圏について詳しく郷土への思いが強い方といえるでしょう。正解率8割を越えた方は自治体マニアというべきで、もう少し別なことに興味を持ちましょう。全問正解の方は病院に行きましょう。
札幌の自治体、弁護士の状況は、全国的に見てもかなり特殊です。
【自治体の状況】
まず、61の自治体が存在するというのはかなり多いといえます。私がきままに調べたところ(ですから正確ではありません)、多分、全国の都道府県(北海道は札幌、旭川、釧路、函館の4つの弁護士会があります)で、5番目以内に入ります。
そして、100万都市が一つで、10万人以上の自治体がわずか3つしかありません。そして、過半数の31自治体が人口1万人未満です。最少の市は歌志内の4000人(多分、全国1人口の少ない市だと思います。)、最少の自治体は神恵内村の約1000人です。しかも、この10年間で人口が増加しているのは合併増も含めて9自治体にとどまり、ほとんどの自治体で人口が減少しており、過半数の34自治体で10%以上減少しており、30%近く減少している自治体もあります(夕張市、歌志内市)。
要するに、やたらと自治体数が多く、その多くが小規模な自治体(それもかなりの小規模)であり、ほとんどが札幌及び札幌圏に集中している上、この傾向は一層強まることがほぼ確実といえます。
【弁護士の状況】
札幌弁護士会には627人の弁護士がいます(平成24年10月現在)
うち、札幌市に事務所を置く弁護士が約580人。札幌近隣(裁判所の本庁エリア)を含めると590名を越えます。
これに対して、札幌地方裁判所には7つの支部があり、それぞれの支部地域に事務所を置く弁護士数は、それぞれ、滝川支部2名、岩見沢支部3名、小樽支部9名、岩内支部2名、苫小牧支部10名、室蘭支部7名、浦川支部3名で、合計してもわずかに36名です。
どうでしょう、ほとんどが札幌に集中しており、かなり偏った状況にあることが分かりますよね。
多分、新たに支部に事務所を開設する弁護士はもう少し増えるでしょう。しかし、その多くは、苫小牧、小樽、室蘭など比較的人口の多い都市であり、かつ増加人数も若干名でしょう。そして、現在弁護士が不在の自治体で弁護士開業が見込めるのは、石狩市(人口5万人以上、札幌に近い)くらいではないかと思います。人口が少ないところでは、相談や事件があまり見込めないからです。
地域司法対策委員会の活動は、さて、このような状況にある札幌圏において、どうやったら住民の方々が弁護士に相談できる体制を整えることができるかということにあります。
かなり難しい問題です。
ということで、次回は、地域司法対策委員会の活動を具体的に紹介させてもらおうと思っています。
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