カルテに思うこと
弁護士の香川志野です。
弁護士の業務の中で、お医者さんが書くカルテ(医療記録)を見る機会は多くあります。医療過誤が問題となるケースではもちろん、交通事故や暴行などで傷害を負い損害賠償請求をするケースなど、様々な場面で登場します。日本語で書かれているだけでもありがたいとは思うのですが、専門用語が飛び交い、おまけに達筆なこともあって、読み解くのはなかなか大変です。
さて、私がカルテを多く目にするのが、B型肝炎訴訟です。私は北海道弁護団の一員として、現在、数十名の原告・提訴希望者の担当をしています。平成23年6月28日に成立した「基本合意」(H24.6.28のコラムもご覧ください)の中に、和解のための条件が定められており、原告は、過去の治療期間中のカルテを提出することになっています。全ての治療期間ではなく、例えば持続感染判明時から1年間とか、入院中のカルテというように限られた部分しか提出しないのですが、それでも、私の元に届く記録の量に愕然とすることがあります。1回の通院について、お医者さんが記録するのはわずか数行のことも多いですし、1ページに何回分もの検査結果が貼り付けられていることもあります。それでも、こんなに厚い記録になってしまうなんて…。記録には現れない毎日の中にも、どれほどの苦しみがあったのか、想像を絶するものがあります。和解ができても苦しみが消えるわけではありませんが、救済される人が少しでも増えて欲しいですし、私にも何かお手伝いができたら…。そのようなことを思いながら、カルテのページをめくっています。
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