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弁護士の横山浩之です。

 

■ 憲法フェスティバルやりました!

2017年4月29日、青年法律家協会北海道支部主催の「憲法フェスティバル2017」が、かでる2.7で行われました。

例年は、「平和」をテーマに憲法についてみんなで一緒になって考えることが多かったのですが、今回のテーマは、政府が改憲を目指している「憲法24条」がテーマになりました(憲法24条の条文はコラム末尾を参照)。

パネリストは、大阪電気通信大学教授で憲法・ジェンダー法学を研究されている中里見博教授と、弁護士で夫婦別姓訴訟弁護団で事務局長をされていた打越さく良弁護士のお2方で、「憲法24条と言えばこの人!」と言っても過言ではない豪華なラインナップになっていたと思います。

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■ 憲法24条の意義

中里見教授からは、憲法24条の起草者であるベアデ・シロタ・ゴードンさんの思想に立ち返って、憲法24条がこれまでに果たしてきた意義、そして、憲法24条の現代における意義についてお話を頂きました。中里見教授の講演の中では、憲法24条は「社会的・公的平等」と「家族内における私的平等」の両方を実現することを目的として起草されたものであり、歴史的には戦前の家制度や「国体」を否定し、性別分業社会を克服(=男女平等の実現)するための役割を果たしてきたこと、そして、憲法24条は憲法9条と相まって「非暴力平和主義」を支えている規定である、というお話が大変印象的でした。

また、これからの憲法24条の現代的意義についても、男女の「公平」な平等が未だに進んでいない現状について、その原因が男女の「私的」な不平等にあると指摘され、今こそベアデ・シロタ・ゴードンさんの思想に立ち返って、女性や年少者、経済的弱者がそれぞれ個性を持ったかけがえのない個人として尊重されることの重要性を強調されていました。

■ 夫婦別姓

打越弁護士からは、夫婦別姓訴訟の中で、改姓させられたことに傷つき、自分の姓で生き、自分の姓で死にたい、という切実な思いを抱えている女性が少なくないこと、現実には女性が改姓をさせられるケースがほとんどである実情があるにもかかわらず、形式的な理由だけで民法750条(夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。)が憲法24条との関係で合憲であると判示した最高裁判決に対する憤りをお話いただきました。打越弁護士のお話の中で、裁判官15人のうち、5名の裁判官が違憲であるとの認識を示していたが、その中でも3人しかいない女性裁判官が3人とも違憲であるとの認識を示していたこと、その女性裁判官の中に、最高裁判事になる前は別の姓で働いていたにもかかわらず、最高裁判事になったとたんに別の姓で働くことになった方がいることが象徴的でした、とお話されていたことが、印象的でした。

■ 改正が本当に必要なのか?

パネルディスカッションでは、選択的夫婦別姓についての諸外国の動向や、同性カップルと憲法24条の関係など、性別に関わる様々なトピックスが取り上げられ、有意義な話が聞けたと思います。

憲法9条と異なり、今まであまり着目されることのなかった憲法24条について、非常に考えさせられる機会になったと思います。政府が必要と説いている憲法24条の改正が本当に必要なのか、市民一人一人が関心を持って、真剣に考えていくことが重要であると感じました。

 

<憲法第24条>

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 

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