弁護士の池田です。
昨日、衆議院をカジノ法案が通過しました。
今日の新聞報道によれば、自民党は、参議院内閣委員会の審議が進まない場合、民進党出身の委員長の解任や、委員会採決を飛ばし、本会議で「中間報告」を行い採決する可能性もあるということです。
正気の沙汰とは思えません。
委員会審議は、わずかに6時間。しかもその中には、法案審議とは無関係な般若心経の解説までありました。ふざけているとしか思えません。
国会議員は、国民の代表者です。国会でまともに議論をしないということは、国民をばかにしているのと同じです。
そもそも、このカジノ法案は、問題点が多いのに、その問題点すら報道されません。
依存症対策の問題は、幾分クローズアップされていますが、そこだけではありません。
カジノとか、IRとか言うから分からなくなるのです。要するに、国家政策として賭場を開きますから、国民の皆さんどうぞ賭博に来てください、というのがこの法案です。
日本においては、賭博をすることは刑法で禁じられています(刑法185条※)。それどころか、賭場を開いた人は、単純に賭博をした人よりも重く処罰されます(刑法186条2項※)。これは、社会的害悪をまき散らした方が重く処罰するということです。
本来であれば、刑法改正の議論を正面からしなければならない問題です。刑法が禁止したまま、なぜか賭博が出来てしまう環境が整いだす。こんな奇妙なことはありません。
実は、日本はすでにギャンブル大国です。パチンコ・パチスロは、カジノ以上に人の感覚を麻痺させます。その結果、多くのギャンブル依存症患者が毎日生み出されています。その対策をせずに、カジノによるギャンブル依存症対策を話しても進みません。依存症者を抱える家族の悩みや苦しみは、どれほど真剣に議論されたのでしょうか。
賭博のてら銭で国の経済を潤すなどという幻想を妄信し、依存症者を積極的に作りだしておきながら、その対策を取るというのは、本末転倒でしょう。
百害あって一利なしのカジノ法案を、皆さんとともに廃案に追い込みましょう!
※ 刑法(抜粋)
(賭博)
第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
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