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目次

 弁護士の渡辺達生です。

1 日弁連人権擁護大会

 日弁連の最大の催しの一つが人権擁護大会です。毎年各地で開催され、今年は第66回で10月3日(木)・4日(金)に名古屋で開催されます(リモート配信も予定されています)。
  https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2024/241003_04.html
 人権大会ではその時々の重要な人権課題についてのシンポジウムが開催されますが、今年の第1分科会では「今こそ生活保障法の制定を〜地域から創る、全ての人の生存権が保障される社会〜」というテーマでシンポジウムを行います。
 私は、生活保護基準引下訴訟の弁護団員であると共に、日弁連の貧困対策本部の委員でもあり、第1分科会の実行委員になっています。

2 日本の生活保護制度

 憲法25条に生存権が規定され、それを具体化する制度の一つとして生活保護制度があることは皆さんもご存じのことと思います。その一方で、日本の社会保障制度についていえば、全く十分ではないし、生活保護制度についても、決して使いやすい制度ではないということも皆さんの共通認識ではないでしょうか?
 事実、生活保護制度は、貧困層の1割程度しか利用できていませんし、利用できたとしても、生活保護基準が低く、すべての人に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するセイフティネットになっていません。

3 社会福祉の先進国スウェーデンの調査

 このような現状をいかに変えていくのかというのが、このシンポジウムの主題であり、私は、5月19日から25日まで、シンポジウムのための調査で社会福祉の先進国スウェーデンに行ってきました。調査は月曜日から金曜日までの5日間にわたり、社会保障に造詣の深い政治家関係、地方自治体関係(スウェーデンは生活保護を地方自治体の独自予算で行っていますし、様々な社会福祉を実際に行っているのは地方自治体です)、労働組合関係(スウェーデンでは失業保険は労働組合が窓口で行っています)、地域の赤十字(スウェーデンでは赤十字が社会的な弱者に対するボランティア活動を広く担っています)等の調査を行いました。
 スウェーデンについては、税金が高く社会福祉が充実した国というイメージを持つ方は多いと思います。そのイメージのとおりの国なのですが、社会福祉が充実していることで、市民の分断が生じず安心して暮らせる国になっています。
 スウェーデンは、個人の所得税が30%程度(日本と異なり殆ど控除がありません)、消費税が25%(食品等は12%)とかなり高い税が課されますが、低所得者層だけでなく中間層も含めた幅広い層に対し、様々な手当てによる現金の給付がなされていますし、医療についても低額の自己負担しか必要がありませんし、大学も含めて教育費は全て無料です。
 調査先で、偶然、スウェーデンで生活している日本人の話しも聞きましたが、税金が高いのは事実だが、それ以外の支出がないので、手取りの金額は日本より多いと思うという話も聞きました。
 また、ブルロフ市という人口2万人の自治体の調査もしたのですが、生活保護を利用している人は100人程度で、その多くは、失業している単身の男性だということでした。日本の場合、生活保護利用者というと、シングルマザーも多いのですが、スウェーデンでは、シングルマザーの場合には他の社会保障等により生活が成り立ち、生活保護を利用することは余りないようでした。
 ※ブルロフ市は私たちの調査をホームページに掲載しています。  


4 シンポジウムにご参加を!

 ここでは、調査の内容をごく一部だけ、述べていますが、シンポジウムに向けて、調査結果をみんなでまとめている最中です。この調査結果も踏まえ、充実したシンポジウムを行いますので、皆さん、是非、ご参加ください。

5 ストックホルムの街並み

 ストックホルムは美しい街です。


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