2022年3月25日、札幌地方裁判所民事5部(廣瀬孝裁判長)は、2019年7月15日にJR札幌駅及び札幌三越前で参議院議員選挙の応援演説を行う安倍晋三元内閣総理大臣(以下「安倍元首相」という)に対して、「安倍やめろ」「増税反対」などと発言したことによって警察官らに排除された原告2名が北海道(警察)を訴えた国家賠償請求事件について、合計金88万円の支払いを認める判決を言い渡しました。この判決は、北海道警察による表現の自由への侵害を正面から認めた歴史的な判決です。
以下、原告・弁護団の声明全文を掲載いたします。
(末尾に声明文PDFファイル、判決骨子・要旨のPDFファイルも掲載します。)
<ヤジ排除訴訟札幌地裁判決に対する原告・弁護団声明>
1 はじめに
本日、札幌地方裁判所民事5部(廣瀬孝裁判長)は、2019年7月15日にJR札幌駅及び札幌三越前で参議院議員選挙の応援演説を行う安倍晋三元内閣総理大臣(以下「安倍元首相」という)に対して、「安倍やめろ」「増税反対」などと発言したことによって警察官らに排除された原告2名が北海道(警察)を訴えた国家賠償請求事件について、合計金88万円の支払いを認める判決を言い渡した。
この判決は、北海道警察による表現の自由への侵害を正面から認めた歴史的な判決である。
2 判決の評価
本日の判決については次の3点を高く評価したい。
第1に、警職法4条及び5条を理由に警察官らの行為は正当化されるとの被告の主張を明快に排斥し、警察官らの排除行為を違法であると判断した点は、当然のこととはいえ、正当な事実認定及び法適用を行ったものであり、高く評価する。
第2に、原告らのヤジをいずれも、「公共的・政治的事項に関する表現行為であることは論をまたない」と断じ、かかる表現の自由を警察官らが排除行為によって侵害したと認めた。これは、民主主義社会における表現の自由の重要性を明示した点において、本件の社会的意義について正面から向き合った判断を行ったものであり、この点も高く評価したい。
第3に、原告2に対する警察官らの執拗な付きまとい行為について、原告2の移動・行動の自由、名誉権、プライバシー権の侵害であることを明確に認めた点も、警察官らの同様の行為を抑止する効果を有するものであり、この点もまた、高く評価したい。
3 最後に
市民が街頭において抗議の声をあげることは表現の自由として保障されている。特に、市民が政治家とのコミュニケーションをとる機会が限られている中、政治家の演説に対して直接抗議や疑問の声を届けることは、民主主義社会において重要な権利行使の局面である。民主主義社会において賛否両論があることは当然であり、一方の主張を警察権力を用いて封じ込めることは断じてあってはならない。
本日の判決は、北海道警察による排除行為が、警察権力による表現の自由の侵害であるとして、その手法を厳しく断じた。北海道警察はもとより全ての警察機関には、本日の判決を重く受け止め、違憲・違法な警察活動を繰り返さないことを求める。
また、鈴木直道知事は、北海道警察を所管する代表者であるだけでなく、排除行為の現場に居合わせている。その意味では傍観者であることは許されない。鈴木知事におかれては、本日の判決には控訴せず、違法・不当な警察活動の再発防止のために政治責任を果たすことを期待する。
2022年3月25日
道警ヤジ排除訴訟原告
道警ヤジ排除訴訟弁護団
ヤジ排除訴訟札幌地裁判決に対する原告・弁護団声明
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道警ヤジ国賠訴訟判決骨子及び要旨
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