北海道、札幌を中心とした北海道合同法律事務所が発行する「事務所通信:北の峰」の2011年 新春号をご紹介致します。

 北の峰のご案内

北の峰 2011年夏号


B型肝炎訴訟最終合意について 弁護士 中島 哲
岩手県避難所巡回法律相談報告 弁護士 笹森 学
日弁連貧困本部の福島調査に参加して 弁護士 渡辺 達生
続・これが最高学府? 弁護士 佐藤 博文
笹森学の書評コーナー  
離婚問題Q&A  
若葉のころフランスの弁護士を訪ねて 弁護士 三浦 桂子
新人弁護士奮闘記 弁護士 香川 志野
巻頭言  

新年あけましておめでとうございます

 三月一一日の東日本大震災から五カ月が経過しました。巨大地震と津波、そして、東電福島第一原発の事故による被害は甚大です。未だ収束の目途さえつかない原発事故による被害は、どこまで拡がるかわからない状況が続いています。改めて、被災されたみなさまに心からお見舞い申し上げますとともに、わたしたちも、被災地の復旧、復興、そして、「原発からの撤退」に向けて、全力を尽くしたいと思います。
 ところで、この間の、被災地、被災者そっちのけで政局騒ぎをしている永田町の政治には、呆れるやら、腹が立つやら。政治と政治家の「劣化」もここまで来たかという感じです。しかし、呆れてばかりではいられません。「劣化」した政治家が、何もしないのではなく、大連立を組み、火事場泥棒よろしく、大企業本位のますますの構造改革、消費税増税、米軍の辺野古移転、日米同盟の深化、更には憲法改悪などやりたい放題では国民が困るのです。国会の比例定数削減も問題です。政治と政治家を「劣化」させた元凶の一つである小選挙区制と政党助成金を止めさせなければなりません。平和と人権、そして、民主主義のために、暑い夏を、共に熱くたたかいましょう。

二〇一一年 盛夏 北海道合同法律事務所一同

B型肝炎訴訟最終合意について 弁護士 中島 哲

 二〇一一年六月二八日午後二時三〇分、B 型肝炎訴訟の解決についての基本合意書の調印式が行われ、細川厚生労働大臣、谷口三枝子原告団代表、そして当事務所の佐藤哲之全国弁護団長が基本合意書に署名しました。

全動労・JR 採用差別事件 最高裁で和解 誇りを胸に、不屈の23年

 これにより、全国約四五万人と言われる幼少期の集団予防接種における注射器の使い回しによるB 型肝炎感染被害者の救済を求める全国B 型肝炎訴訟は全体的な解決に向かうことになりました。先行訴訟が札幌地裁に提訴された一九八九年から実に二三年、先行訴訟について原告全面勝訴の最高裁判決が出された二〇〇六年から数えても五年かかった成果です。

2010年9月1日 裁判所前集会
2010年9月1日 裁判所前集会

 B 型肝炎を巡る裁判が始まったのは、今を遡ること二三年前の一九八九年でした。五人のB 型肝炎感染被害者が原告となり、札幌地方裁判所に裁判を起こしたのです。その裁判は、幾多の苦難を乗り越え、二〇〇六年に、最高裁で全面勝訴の判決を得ました。提訴から一七年が経過していました。この最高裁判決により、国が、B型肝炎被害救済のための施策を取ることを誰もが予想し、期待していましたが、国は何もしようとしませんでした。あくまでも五人の原告への賠償問題だとして、国民全体の問題として捉えることを拒否したのです。

 このためB 型肝炎問題の全面解決を求めて、国に対して新たに責任を問うべく二〇〇八年に提訴したのが全国B 型肝炎訴訟です。この訴訟は全国に広がり、全国一〇地裁、七二七人の原告(二〇一一年六月二八日現在)が国の責任を問うべく立ち上がりました。そして、二〇一〇年三月一四日に、札幌地方裁判所で和解勧告が出され、ようやく、国は、原告団・弁護団と、B 型肝炎感染被害者救済のための枠組について協議することになりました。

2011年6月16日 裁判所へ向かう原告団と弁護
2011年6月16日 裁判所へ向かう原告団と弁護

 しかし、和解協議も遅々としてなかなか進みませんでした。和解勧告が出されてから、基本合意締結に至るまで一年三カ月、二三回の和解協議を要し、その間に一六名の原告が命を落としました。

 このような長い年月を要して到達した基本合意書には、国が集団予防接種での注射器等の連続使用によって、甚大なB 型肝炎ウイルス感染被害を発生させたこと、さらに、その被害の拡大を防止しなかったことについて責任を認め、感染被害者及びその遺族に謝罪をする旨が記載されたうえで、国が、ウイルス検査の一層の推進、肝炎医療の研究の推進、医療費助成等々の必要な施策を講ずるよう努めることが定められています。

 さらに、総理大臣は基本合意を踏まえ、今日が新たなスタートラインとして基本合意に定められた政策課題を実行していきたいと述べました。

 基本合意の成立によっても、B 型肝炎訴訟は終わったわけではありません。基本合意に先立つ札幌地方裁判所の和解協議期日において、裁判長も、基本合意はベストのものでなく、救済の範囲、額、方法、とりわけ除斥の問題については、「あらためて国会その他の場でより良い解決をいただければと思います。」と「所感」を述べました。これは、裁判所自らが、立法にあたって除斥期間という「限界」を乗り越えた救済内容を実現すべきであるとの考えを示したものです。

 また、今後二度とこのような感染被害を生じさせないために、国には、このような甚大な感染被害を生じさせ、拡大させた原因を究明し検証を行うことが求められています。

 さらに、国が、B 型肝炎被害の拡大について責任があるにもかかわらず、国が六〇年余と長く、隠蔽、放置した結果、個別被害回復を受けることができる被害者が極めて限られる以上、全ての肝炎患者への恒久対策を充実していくことも、国の責任で行わなければなりません。基本合意書には、国が、ウイルス検査の一層の推進、肝炎医療の研究の推進、医療費助成等々の必要な施策を講ずるよう努めることが定められていますが、この点を一般論ではなく具体的に進めることが求められています。

 これからは、この基本合意書の枠組に沿った、訴訟手続によるB 型肝炎感染被害者の個別救済、今後の恒久対策についての国との協議など、原告団弁護団にはまだまだやることが残されています。今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします。

岩手県避難所巡回法律相談報告 弁護士 笹森 学

 五月一〇日、札幌弁護士会から派遣され、岩手県弁護士会からの要請に応えて岩手県の避難所巡回法律相談へ行って参りました。岩手県出身の妻を持つ私としては直ぐに手を挙げて参加しました。

 派遣場所は陸前高田市。患者が屋上からヘリで脱出する様子がテレビ放映された市立病院で有名です(同病院前まで行って来ました=写真)。担当場所は小友町の丘にあるオートキャンプ場モビリアで、盛岡からタクシーで二時間半かけて到着。

 日中ほとんどの人は津波被害に遭った自宅の片付けに出て残っているのは老人と子供だけという状況の中、同行した平岩篤郎弁護士と敷地の高台にあるドーム型の建物に出張相談に出かけ、震災時の制度などについて説明しました。最初の建物には二?三人のお年寄りがいて重い口を開いて「ここにいさせてもらえるだけで十分」「嫁が流された」などと淡々と話をされていました。

 次の建物へ向かい、ちょうど出てきたおばあさんに「何か困っていることはないですか?」と声をかけたところ、ギロリと睨まれ「困ってることだらけだ。あんたが何とかしてくれるのか」と叱られ、直立不動で「年寄りだけでは家の片付けもできない」などの切実な悩みを聞いて来ました。結局は話を聞くだけでしたがそれも大切なことだと実感しました。

 ただ焼け野原のようになって見晴らしの良くなった残骸の街を眺め、これからの途方もない道のりを想い、立ち尽くしました。

日弁連貧困本部の 福島調査に参加して
弁護士 渡辺 達生

 私は、六月一一日から一二日にかけて、日弁連の貧困対策本部の一員として、福島の被災地調査に参加しました。福島は、沿岸部で津波による被害を受けただけでなく、福島第一原子力発電所の事故による放射能の被害も受けてます。

 この時点では、福島原発から二〇q圏内は、立ち入り自体が制限され、そこに立ち入ることはできませんでしたが、二〇qから三〇qの間には、完全にゴーストタウンになっている街がありました。偶然、自宅に一時的に戻っていた住人の話を聞くことができましたが、その街は、海岸沿いの町で、三月一一日の地震の時に、津波が来るからということで高台の学校に避難しましたが、津波自体は街まで来ず、避難所で一晩を明かし一安心したところ、原発での事故があったので、直ちに避難をしてほしいという話が来て、着の身着のまま、五〇q近く離れた避難所に避難し、三カ月近くが経過したとのことでした。

 福島原発の事故がどのように終息するのかはまだ全く判りませんが、あの街がゴーストタウンから日常の活気ある街に戻ることを願うばかりです。

続・これが最高学府? 弁護士 佐藤 博文

 前号(二〇一一新年号)で、北大で働く女性契約職員(研究助手)が、非正規雇用職員の「三年雇止めルール」により、研究室は雇用継続を強く望んでいるのに退職を余儀なくされ、しかも、離職証明書の交付が遅れて雇用保険をもらえなかったとして、北大相手に裁判(損害賠償請求)を提起したことを報告しました。

 この裁判が契機となって、北大の離職手続は"適法"に改善されました。

 六月三日には、「三年雇止めルール」が実施される前から働いていた女性事務職員が、同ルールを理由に今年三月で雇止めにされたのは違法無効であるとして裁判を提起しました。この方は八年以上働いていた方です。

 このような北大の「人材切り捨て」「物扱い」に批判が強まっています。京都大学など多くの大学では、このような機械的な切り捨て政策は止めています。北大よ、目を覚ませ!

 北大は、国立大学法人として民営化された二〇〇四年以降、対等平等な労使の協議に基づいて労働条件を決定しなければならないが、それを理解することなく、特に賃金については国家公務員の「人事院勧告」を絶対視し、労使交渉を形骸化して、一方的に切り下げを強行してきました。

 二〇〇五年五月には、寒冷地手当の削減について、北大教職員組合(北大職組)が団交拒否の不当労働行為救済申し立てを行い、二〇〇六年七月に、当該年度の実施凍結を合意すると共に、「今後とも、給与その他の労働条件の変更の提案にあたっては、十分な労使協議の時間を確保し、その根拠となる関係資料を提示して両者誠意を持って交渉すること」を約束させました。

 ところが、北大は二〇〇九年度の賃金改定(基本給及び期末手当)にあたっても、「人事院勧告」を絶対視し、勧告内容どおりの大幅な切り下げを強行しました。そこで、北大職組は、二〇一〇年三月、再び不当労働行為救済を申し立てました。

 その命令が、本年三月三一日、北海道労働委員会より交付され、北大の団交拒否(団交の形骸化)を全面的に認めるとともに、それが組合に対する支配介入(組合の弱体化を企図)にもあたるとし、さらに謝罪文の交付まで命じました。

 北大は、今回の命令を真摯に受け止め、労使関係を正常化させ、研究者・労働者が人間らしくのびのびと働ける職場をつくり、社会進歩に貢献する学問研究機関としての使命を全うしてもらいたいと、切に望むものです。

笹森学の 書評コーナー  

「最高裁の暗闘 ―少数意見が時代を 切り開く」 山口進・宮地ゆう (朝日新書)

最高裁の暗闘 ―少数意見が時代を 切り開く

 今年の六月三日、公立学校教職員に君が代の起立斉唱、公立施設での国旗掲揚を義務付ける大阪府条例が成立した。稀代の悪法だ。人権の砦であるはずの最高裁がお墨付きを与えて来た結果である。ただ本書は「少数意見が時代を切り開く」と報告する。それを信じて、じっくり読まれることが少ない最高裁判決の少数反対意見の要旨を紹介する(詳細全文は最高裁HPで)。

藤田宙靖裁判官の反対意見(平成一九年二月二七日第三小法廷判決)
 真の問題は、校長の職務命令によってピアノの伴奏を命じることが、上告人に「『君が代』に対する否定的評価」それ自体を禁じたり、一定の「歴史観ないし世界観」の有無についての告白を強要することになるかどうかというところにあるのではなく、入学式においてピアノ伴奏をすることは、自らの信条に照らし上告人にとって極めて苦痛なことであり、それにもかかわらずこれを強制することが許されるかどうかという点にこそある。問題とされるべき上告人の「思想及び良心」としては、このように「『君が代』が果たしてきた役割に対する否定的評価という歴史観ないし世界観それ自体」に加えて更に、「『君が代』の斉唱をめぐり、学校の入学式のような公的儀式の場で、公的機関が、参加者にその意思に反してでも一律に行動すべく強制することに対する否定的評価(このような行動に自分は参加してはならないという信念ないし信条)」といった側面が含まれている可能性があり、後者の側面こそが、本件では重要で(中略)このような信念・信条を抱く者に対して公的儀式における斉唱への協力を強制することが、当人の信念・信条そのものに対する直接的抑圧となることは、明白である。

宮川光治裁判官の反対意見(平成二三年六月六日第一小法廷判決)
 憲法は少数者の思想・良心を多数者のそれと等しく尊重し、それに反する行為を強制することを許容していない。国旗に対する敬礼や国歌の起立斉唱を、「日の丸」や「君が代」を軍国主義や戦前の天皇制絶対主義のシンボルとみなし、平和主義や国民主権とは相容れないと考える人々が相当数存在している。少数ではあっても、ともすれば忘れがちな歴史的・根源的問いを社会に投げかけているとみることができる。?不起立不斉唱は思想・良心の核心の表出であるか、少なくとも密接に関連する可能性がある。多数意見は、起立斉唱行為をいわば多数者の視点で評価している。およそ精神的自由権に関する問題を多数者の観点からのみ考えることは相当でない。割り切って規律斉唱する者もいるだろう。面従腹背する者もいるだろう。規律はするが声を出して斉唱しない者もいよう。深刻に悩んだ結果として、あるいは信念としてそのように行動することを潔しとしなかった場合、その心情や行動を一般的でないからとして過小評価するのは相当ではない。

田原睦夫裁判長の反対意見(平成二三年六月一四日第三小法廷判決)
 国歌斉唱の起立行為は儀礼的な所作の性質があり、その命令が直ちに歴史観、世界観を否定するものではない。しかし、斉唱は国歌に対して否定的な歴史観や世界観を有する者にとって真っ向から対立する行為にほかならず、儀礼的行為と評価できない。学習指導要領は「国歌を斉唱するよう指導するものとする」と定めているが、音楽専科以外の教諭らに自ら国歌を歌うことまでが職務上求められているとは言えない。国歌に対して否定的な歴史観や世界観を持つ者に対し、国歌を歌うことを職務命令をもって強制することは、思想・信条にかかる内心の核心的部分を侵害すると評価されうる。職務命令の合憲性が肯定される場合でも、職務命令と懲戒処分が裁量権の濫用に当たるかが問題となりうる。校長の職務命令には様々な段階のものがある。対象行為が思想・良心の自由に直接かかわる場合はより慎重になされるべきだ。 ?多数意見も思想・良心の自由が侵害されていることを認めながらその程度は小さいとして儀式の平穏挙行の方が大事だとする。悲しき人権後進国日本である。

離婚問題Q&A  

 今回は、法律事務所に寄せられる様々な相談の中から、離婚問題を取り上げ、よくあるいくつかの疑問について、当事務所の弁護士がそれぞれの見解でお答えしております。皆様、参考にしてみてください。

  • 離婚に伴う慰謝料及び養育費の相場は、いくらくらいですか?
  • 慰謝料は、離婚の原因が何かなどの事情により違ってきますので一概には言えませんが夫婦の一方の不貞行為が原因で離婚に至るような場合、判決では、300 万前後の慰謝料の支払が命ぜられることが多いと思います。
     養育費の額は、裁判官がまとめた「養育費算定表」を参考にして、それぞれの収入、子供の年齢と人数をこれにあてはめて算定されるのが通常です。この表は、各地方裁判所のホームページで見ることができますので参照してください。 (弁護士 長野 順一)
  • 年前に離婚した元妻が再婚したようです。これまでどおり自分は養育費を支払わなければならないのでしょうか?
  • 元妻が再婚したからといって当然に実父の養育費支払義務がなくなるわけではありません。再婚相手と子どもが養子縁組をした場合は第一次的な養育義務者は「養父」になりますが、実母と養父の経済力が乏しければ、子どものために実父は養育費を支払わなければなりません。逆に実母と養父の経済力が十分であれば養育費減額もしくは免除の申立てを家庭裁判所にすることになります。いったん、調停で合意した養育費の支払義務は免除の審判もしくは新たな合意がない限り、当然には変更になりません。支払わないと給料が差押えられる危険がありますので要注意です。 (弁護士 内田 信也)
  • 妻が、子どもを連れて家を出て行きました。子どもを連れ戻してもいいですか?
  • 子どもを連れて別居していましたが、ある日子どもが配偶者に連れて行かれてしまいました。どうしたらいいでしょうか?
  • どちらの場合も、原則的には、相手に無断でお子さんを連れ戻すことは避けて下さい。別居中、どちらがお子さんの面倒をみるかは、お子さんの福祉に配慮しつつ、夫婦でよく話し合って決めます。夫婦の話し合いで決着がつかない場合は、家庭裁判所に対し、「子の監護者の指定」・「子の引渡し」の調停・審判を申立てることになります。また、お子さんの身体に危険がある等の緊急の場合は、これらの調停・審判に先立ち、審判前の保全処分としてお子さんの引渡しを求めることも考えられます。 (弁護士 安部 真弥)
  • いわゆる『熟年離婚』を検討中です。夫の退職金から、私の老後の生活費をもらうことはできますか?
  • 婚姻生活中に、2 人の協力により形成した財産は、離婚に際し、お互いに分けて清算することになります(財産分与)。賃金の後払い的性質のある退職金には、妻が夫婦として共同生活を営んでいた際の貢献が反映されています。よって、すでに受領済みの退職金はもちろん、いまだ支払われていない退職金であっても、夫の定年が近い等、退職金が遠くない将来に支払われる蓋然性が高いものであれば、財産分与として清算を求めることができます。 (弁護士 山田 佳以)

この他にもお困りのことがあれば、いつでもご連絡ください。

若葉のころ フランスの弁護士を訪ねて 弁護士 三浦 桂子

 四月中旬、憧れの地フランスへ。弁護士の出産・育児、高齢になったときの働き方、それを支える弁護士会の制度などを調査するためです。

南仏プロバンスの小さな村
南仏プロバンスの小さな村

 パリ弁護士会は女性会員が過半数を超えましたが、一〇年以上働く女性は少なく、その背景には出産・育児と仕事の両立が難しいことも一つの要因であるとのことです。そこで、今年、フランス弁護士会では、女性の産前産後休暇(有給)を取りやすくするために従来の一二週間から一六週間に延長しました。更に、男性会員の父性休暇も新設されました。これは、子どもが生まれた場合や養子縁組をした場合、有給で一一日間あるいは八日間(双子、二人以上の養子縁組)、連続して仕事を休むことができるというものです。私が「だれが希望したのか」と質問すると、「子どもができた大切な時には家族いっしょに過ごしたいという若手男性会員の強い要望で実現」という説明があり、私は胸が熱くなりました。フランスでも人の気持ちや苦労は日本と同じです。

パリ弁護士会からセーヌ河を眺める
パリ弁護士会からセーヌ河を眺める

 また、渡仏翌日の日曜日、バスチィーユ広場近くのカフェで私達を迎えてくれたのは「名誉弁護士」の皆さん。現役を退いた後もボランティア活動に熱心に取り組んでいる姿に接し、背筋が伸びる思いでした。

新人弁護士奮闘記
弁護士 香川 志野

 「北の峰」に登場するのは二回目です。昨年の一二月に入所して、早くも半年が経ちました。

 たったの半年ですが、労働事件や刑事事件(初めての法廷は緊張で一瞬頭が真っ白になりました)、家事事件など様々な事件に携わり、たくさんの方々に出会いました。三月からは一人で法律相談も担当するようになりました。また、B 型肝炎訴訟北海道弁護団やアスベスト北海道訴訟弁護団にも参加したので、今後もしっかり取り組んでいきたいと思っています。慣れないこと、わからないことばかりですが、優しくて頼りになる先輩弁護士や事務局の方々に支えられて、入所以来とても充実した毎日を過ごしています。働く環境は最高です。

 ただ、毎日とっても忙しいんです! 調べたり、質問したり、考えこんでしまったりする新人の私にとっては、時間がいくらあっても足りません。でも、ひとつひとつじっくり取り組んで積み重ねていくことが、大事なことだと思って頑張っています。これから長い弁護士人生、いろいろな壁にぶつかるかもしれませんが、周りの方々にも助言をいただきながら、少しずつ成長していければと思っています。これからもよろしくお願いいたします。


弁護士紹介取扱分野Q&A