北海道、札幌を中心とした北海道合同法律事務所が発行する「事務所通信:北の峰」の2011年 新春号をご紹介致します。

 北の峰のご案内

巻頭言  

新年あけましておめでとうございます

 二三年前に元国鉄の組合員を差別した不当労働行為によって排除された労働者の血と涙の地道な闘いが、ついに国に責任をとらせて解決しました。本人、家族と多くの人々の連帯と支援が政治を動かしました。
 また、三〇年以上にわたり不当利得を国民から奪い、生活を破綻させる被害を与えてきたサラ金などの消費者金融を規制するための法律が全面的適用となり、代表的サラ金「武富士」の倒産という、サラ金の時代の終わりを象徴する結果となりました。
 沖縄では一四年間、新基地建設反対の地道な闘い、杭の一本もうたせないという闘いが県民の意思を明確にし、米国、日本政府、沖縄県政を動かし、県内移設は不可能になっています。これらのことは大きな希望です。
 しかし、限りない政治の軽薄さと失政により、失業、解雇、貧困などの国民の生活苦、家庭や地域崩壊など無縁社会化や国民の無力感も広がっています。
 法律事務所として、憲法の保障する国民の生存権(二五条)や平和的な社会を実現すること(憲法九条)を理念とし、一人でも多くの人々の苦悩を法律相談や社会的活動を通じて一層支援をしていく決意です。
 無縁社会ではなく、何かの御縁が広がるような社会の実現を目指していきましょう。

二〇一一年 一月 北海道合同法律事務所一同

全動労・JR 採用差別事件 最高裁で和解
誇りを胸に、不屈の23年
弁護士 内田 信也

 「JR採用差別事件」は二三年の闘いを経て、二〇一〇年六月二八日に最高裁で、旧国鉄を引き継いだ「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が不採用組合員らに和解金を支払う内容で和解が成立した。ついに国が責任を認めたのである。

全動労・JR 採用差別事件 最高裁で和解 誇りを胸に、不屈の23年

 今の「JR路線」は、一九八七年三月末までは、国が経営する「日本国有鉄道」として一本で繋がっていた。それが、一九八七年四月から七つのJR会社(新会社)に分割民営化されたのだが、その際に、分割民営化に反対した労働組合所属の労働者のうち、新会社に採用にならなかった一〇四七人が「不採用は不当労働行為である」として、新会社に採用を求めたのが「JR採用差別事件」である。全動労(全国鉄動力車労働組合)も分割民営化に反対し、組織丸ごと排除され、六四名の争議団を結成して闘ってきた。

家族が遺影とともに
家族が遺影とともに

 私は、弁護士一年目から、全動労弁護団の一員として関わってきた。全動労は、運転士や検査・検修係といった運転職場の労働者によって構成される労働組合である。彼らは、安全・確実な鉄道輸送に誇りと生き甲斐を持ち、仲間同士で切磋琢磨しながらその技術を磨いてきた。運転職場には、分割民営化に賛成する動労(動力車労働組合)と反対する全動労の二つの労働組合があったが、労働者としての質と能力は全動労が群を抜いていた。しかし、採用結果は、動労が一〇〇%、全動労が二八%という歴然とした差別であり、不当労働行為であることは明白であった。人権侵害は早急に救済・是正されなければならない。しかし、裁判所はわれわれの期待を裏切り続けた。

 これまで、全動労と国労の事件に対し、沢山の判決が出ているが、全ての判決で「採用差別があった」ことが認められている。つまり、「事実論」ではわれわれは全部勝っているのである。ところが、裁判所は「法律論」で詭弁を弄して、救済を拒んできた。最大の詭弁は「国是である分割民営化に反対する労働者が差別されても不当労働行為には当たらない」、これである。恥辱ともいうべき人権感覚にあ然とさせられる。

2010年12月9日 感謝の夕べ
2010年12月9日 感謝の夕べ

 そんな厳しい状況の中、当事者・家族とそれを支える全国の仲間の連帯が、この「国是論」の壁 を見事に打ち砕いたのである。私は、全動労事件以外に労働事件らしい事件をやったことはない。しかし、全動労事件は私に人間として、弁護士としての生き方の全てを教えてくれた。「JR採用差別事件」をはじめとした「国鉄闘争」の経験は全労働者の共有の財産であり、そこからは、今後の労働者の新しい連帯と団結のための教訓をたくさん学ぶことができる。その意味で、まだまだ、国鉄闘争は終わらない。

 これまで、ねばり強く支援していただいた皆さんに心から感謝いたします。

B型肝炎訴訟の早期全面解決を!! 弁護士 中島 哲

 現在、幼少期に受けた集団予防接種における注射器の回し打ちによりB型肝炎に感染したB型肝炎被害者が、各地で国の責任を追及して国家賠償を請求するB型肝炎訴訟を全国でたたかっており、当事務所も、全国弁護団長を務める佐藤哲之弁護士を筆頭に取り組んでおります(二〇一〇年一二月八日現在で一〇地裁、原告六一三名)。

札幌地裁前のベースキャンプ(大通公園)
札幌地裁前のベースキャンプ(大通公園)

 この裁判は、二〇一〇年の三月一二日に札幌地裁から和解勧告が出された後、和解協議を繰り返してきましたが(前号で七月六日の和解協議までの模様はご報告しているかと思います)、国はかつて自らが国民に集団予防接種を義務づけていたにも関わらず、予防接種を受けたことの証明として母子手帳を要求し(被害者の切り捨て)、また、キャリアの被害を認めない(被害の切り捨て)など、真剣に本件の解決を考えているとは到底思えない態度に終始し、原告団弁護団はもとより、裁判所から再考を求められても、なお改めようとしておりません。

期日後裁判所前
期日後裁判所前

 提訴後既に一一名の原告が亡くなり、和解勧告後も三名の原告が亡くなっています。もはや一刻の猶予もありません。解決が遅れるほどB型肝炎被害は拡大するため、原告団は「年内解決」を目指して二〇一〇年を駆け抜けて来ました。

 この原稿を書いている一二月八日の時点では、年内の期日もあと一回の予定ですが、この間、道内の五六地方自治体においてB型肝炎訴訟の早期解決を求める意見書が議決され、また、一一月二六日には佐藤哲之全国弁護団団長が衆議院厚生労働委員会に参考人として招致され、国会議員の前で意見を述べるなど、徐々に大きなうねりを作り上げてきております。

報告集会
報告集会

 この号を皆さまにお読み頂いているころに、この裁判が解決をしていればもちろん素晴らしいですが、仮に解決していなかったとしても、もう少しで全面解決に向けた政治の重い扉が開くところまで来ております。

 この問題を解決するまで、我々弁護士はもちろん、原告団、支援の会と一丸となって取り組む所存ですので、ぜひ改めて、皆さまの御理解と御協力をお願いいたします。

これが最高学府!?
ノーベル賞受賞の影で、北大の非正規雇用の実態
弁護士 佐藤 博文

 昨年九月三〇日、北大で働く女性契約職員(研究助手)が、北大を相手に損害賠償請求訴訟を起こしました。内容は、研究室は雇用継続を強く望んでいたにもかかわらず、北大の非正規雇用職員の雇止めルールにより退職を余儀なくされ、しかも、本来退職日から一〇日以内に離職証明書をハローワークに提出すべきところ、北大は遅れに遅れ、離職票が届いたときには就職が決まっており、結局、雇用保険を受け取れなかったというものです。

 しかも、本人が再三催促していたのに、本人に届いた離職票には、発行が遅れた原因が本人にあると記述されており、また、「離職者の人数が多く仕事が増え離職票の発行が遅れた」と弁明したのです(答弁書)。

 しかし、正規雇用を激減させ、非正規雇用を激増させたのは北大ですから、自ら増やしておいて法も守れないようならば、「非正規雇用を雇うな!」です。

 北大は、二〇〇四年四月、国立学校から国立大学法人へ組織変更されました。それに伴い教職員の身分は国家公務員から法人職員となり、適用される法律は国家公務員法から労働基準法などの労働法体系に変わりました。しかし、北大は法人移行後も国の人員削減計画の枠内にあります。それどころか、国の計画(五%)よりも多くの人員削減の目標(約一四%)を実施してきたのでした。これにより非正規雇用職員は、様々な職種に総勢四五〇〇人に至ってます。

ノーベル賞受賞の影で、北大の非正規雇用の実態

 特に、二〇〇八年に急激に増加しました。それは、本来的には一時的な雇用である「謝金」形態―例えば大学内で学生アルバイトを採用する場合―で恒常的に雇い続けることにより、社会保険の適用を逃れていたところ、当時の社会保険庁から違法であると指摘され、年度途中で「謝金」雇用者を非正規雇用者に変更したからでした。この「謝金雇用」だった職員が、昨年一二月三一日に三年の更新終了期限を迎え、その対応が大問題になりました。

 結局、北大教職員組合が雇止めは許さないと頑張り、各研究室も年度途中で辞められては研究が止まると頑張り、当初の雇い止め予定を撤回させました。しかし、今年三月三一日までの三か月だけの延長ですので、今年早々から雇止禁止仮処分を申し立てるなど、北大の非正規雇用の問題の抜本的解決のために頑張る所存です。

広がるアスベスト被害と訴訟 弁護士 長野 順一

 2005年6月、大手機械メーカー潟Nボタは、石綿(アスベスト)水道管を製造していた自社の工場の従業員や出入り業者が、肺癌や中皮腫を発病し、78人が死亡していたことを公表しました。そして、その報道をきっかけとして、ニチアス鰍ネどの建材メーカーや石綿関連業者も、自社の従業員の多数にのぼる死者数を次々と公表し世間に衝撃を与えました。いわゆる「クボタ・ショック」といわれるものです。

 アスベストは、大量に産出され、安価である上に、加工しやすさ、強さ、断熱性、耐火性、耐薬品性、電気絶縁性、防音性など、様々な面で優れていることから、古くから様々な分野において使用されてきました。私達のまわりでもありとあらゆるところで使われています。本当にゾッとする話です。

 アスベストの危険性については、戦前から石綿肺(じん肺の一種)が発症することが認識されていましたし、「発癌性」についても、1960年代半ばには、肺癌や癌の一種である中皮腫が発症することが疫学的にも明らかになっていました。

 それにもかかわらず、石綿関連企業は、安くて便利であることから、国民の生命・健康を軽視して、石綿製品の製造、販売、使用を続けてきました。また、国も、石綿の危険性と石綿被害の発生について充分認識しながら、一貫して産業界の利益を優先する政策をとり続けてきました。

 その結果、多くの労働者や市民が、石綿粉じんを吸い込んで、肺癌や中皮腫などに罹患して命を落とし、あるいは、病気に苦しんでいます。 そのような中で、大阪の泉南地区では、2006年5月、石綿工場で働いた労働者や家族、周辺住民が、国を相手に損害賠償訴訟を提起し、今年5月19日、国の責任を認める原告勝訴の判決を勝ち取りました(残念ながら国が控訴したため大阪高裁で審理中)。

 また、2008年には、東京、神奈川など首都圏の建設労働者が、国と石綿含有建材メーカーを相手として、訴訟を提起し、今年中の結審が見込まれています。

 もちろん、北海道にも、石綿鉱山がありましたし、石綿製品の工場もあちこちにありました。またアスベスト製品もたくさん使われていました。肺癌患者の中で、アスベスとに起因すると見られる肺癌に罹患している人達もたくさんいるといわれています。今、北海道でも、建設労働者を中心に、国などの責任を追求する訴訟の準備が進められています。今年は、北海道でも、建設労働者のアスベスト訴訟をはじめ、アスベスト訴訟が提起されることになると思います。是非ご理解とご支援をお願いします。

滝川市の生活保護費詐欺事件住民訴訟について 弁護士 渡辺 達生

 平成19年に滝川市で生活保護を受給しているK夫婦が、札幌までの通院のための交通費として約1年半で総額2億3000万円余りを滝川市からタクシー会社に支給させ、タクシー会社から1億円以上を受領していたという事件がありました。この事件を覚えているは少なくないと思いますが、現在、この事件についての住民訴訟を滝川市市民169人が原告となって札幌地裁で進めています。

 この事件の場合、詐欺を実際に行ったK夫婦が悪いことは間違いありませんが、毎月1000万円以上の通院のための交通費を使うなどということは常識的にはあり得ないことです。あり得ない支出を続けた市長や福祉事務所長等の責任を問うのがこの訴訟です。

 滝川市は、近隣の市町村と比較して、生活保護に厳しいところでしたが、このK夫婦だけには特別な対応をしていたのです。審理を進めていく中で、@札幌への通院は医学的には必要がなかった、A必要もないのに費用の高い民間救急車の使用を認めていた、Bタクシー会社のホームページの料金表よりも遥かに高い料金を認めていた、CBについて監査委員から指摘されていたのに改めなかった等、重大な問題が明らかになりました。

 格差と貧困が問題となっている現代において、生活保護は最後のセーフティーネットとして極めて重要なものです。生活保護の恣意的な運用の問題点を明らかにした上で、公正な生活保護行政を目指していきたいと思います。

 今春からは、証人尋問に入る予定です。皆さん、ご支援をお願いします。

女性自衛官人権裁判、完全勝訴 弁護士 佐藤 博文

女性自衛官人権裁判、完全勝訴

 昨年七月二九日、札幌地方裁判所は、空自女性自衛官に対する性暴力の国家賠償請求事件で、三年余の審理を経て、原告の主張をほぼ全面的に認める判決を下しました。自衛隊は控訴せず、五八〇万円の損害賠償が確定しました。

 原告は、〇六年九月基地内で性暴力に遭い、被害を訴えたことが逆にイジメを受け、翌年三月の任用更新の際には熾烈な退職強要まで受けました。事件当時二〇歳の原告は、「裁判は暗闇の中の一条の光だった」と現職のまま提訴しました。この勇気と頑張りに女性団体、人権団体、市民が原告を励まし、支えた裁判でした。

 判決は、性被害の分析に深い洞察を加えており、今後、被害者救済の力になるものです。従来の物理的強制の存否や程度0にとらわれず、被害者の供述の一部に変遷や不合理と思われる点があっても、「性的暴行の被害を思い出すことへの心理的抵抗が極めて強い」「共感をもって注意深く言い分に耳を傾けないと、客観的事実と異なる説明やもっとも恥ずかしい事実を伏せた説明をしてしまう」「原告からの事情聴取はもっぱら男性上司や男性警務隊員によって行われており、原告が性的暴行を冷静に思い出したり、記憶を言葉で説明することができなかった可能性が高い」等としたのです。

 軍事組織の本質に迫り、自衛隊員の人権侵害の実態を解明しました。「隊内の規律統制維持のため隊員相互間の序列が一般社会とは比較にならないほど厳格で、上命下服の意識が徹底した組織」であり、原告が「上位者である加害者に逆らうことができない心境に陥る」と、認定しました。これは、イジメなど隊内でのあらゆる人権侵害に通じます。

 職場の責任につき、@被害職員が心身の被害を回復できるよう配慮すべき義務、A加害行為によって当該職員の勤務環境が不快となっている状態を改善する義務、B性的被害を訴える者が職場の厄介者として疎んじられさまざまな不利益を受けることを防止すべき義務を負う、と具体的な判断基準を示したことです。そして、慰謝料五〇〇万円を、性暴力二〇〇万円、保護・援助の不作為三〇〇万円と分けて認定しました。これは、性暴力における二次被害の深刻さ、組織責任の重大さを明確にし、損害賠償の引き上げに寄与するものとなりました。

 この裁判と入れ替わるように、陸自真駒内基地における沖縄出身の二〇歳の青年の訓練死事件の国家賠償請求訴訟が始まりました。自衛隊員の人権を守ることは、市民の力で、軍隊の暴走を止めることです。引き続き頑張りますので、宜しくご支援下さい。

「命の雫」裁判
北海道における自衛官人権裁判(国賠訴訟)
弁護士 山田 佳以

事案の概要
 平成一八年一一月二一日、当時二〇歳だった沖縄出身の自衛官亡島しまぶくひでよし袋英吉さんが、初任地として赴任した陸上自衛隊真駒内基地内で、徒手格闘訓練中に死亡しました。
 自衛隊は、徒手格闘訓練中の事故(公務災害)として処理しましたが、ご両親は矛盾に溢れた説明に疑問を抱き、繰り返し説明や情報公開を求めました。
 しかし、自衛隊の返答は形式的で、開示資料は肝心な所が全て黒塗りとされていました。なぜ希望に溢れていた息子が命を落としたのか、真実を知りたい。ご両親は、この想いを絶やさぬよう昨年一一月『命の雫』(文芸社)と題する書籍を出版しました。
 その後、ご両親は、北海道の弁護士を探すなかで「自衛隊イラク派兵差止訴訟」や「女性自衛官人権裁判」を担当した当事務所の佐藤博文を知り、佐藤博文を弁護団長として弁護士五名で「命の雫」裁判弁護団を結成し、平成二二年八月三日に札幌地裁に国家賠償請求訴訟を提起しました。

「徒手格闘」訓練とは
 徒手格闘訓練とは、相手と素手で格闘して致命傷を与える訓練であり、生命・身体の損傷につながる危険性が極めて高いものです。解説書によれば「地面という武器を活用」し、「綺麗に決まれば後頭部を地面に叩きつけることができるため、効果は大きい」などとも書かれています。対テロ戦争、ゲリラ対策として、最近、強化されている一方で、事故が多発し、あるいは訓練に名を借りたイジメやしごきが行われていると言われています。広島県江田島市の海上自衛隊では、平成二〇年九月、一五名で暴行を加えて隊員を死に至らしめ、遺族が松山地裁に裁判を起こしています。
 亡島袋秀吉さんは、十分な受け身の訓練を受けず、攻撃から身を守る方法を知らないまま、繰り返し投げ技や当て身技を受けて死亡しました。

本裁判の争点について
 亡島袋英吉さんの公務災害報告書では、最後の一回の投げ技により頭を強打して死亡したとされています。しかし、肋骨が三カ所折れ、肝臓などの内臓も損傷しているなど、とても頭の強打だけの事故とは思えない外傷を負っていました。本裁判は、国の安全配慮義務違反のみならず、自衛官が訓練を隠れ蓑にして亡島袋英吉に暴行を加えて死に至らしめたのではないか、それを自衛隊が組織ぐるみで隠ぺいしたのではないか、という疑問を追及するものです。

「命の雫」
文芸社 四六判・上製・152頁
 定価1260円(税込み)

原因の究明
 徒手格闘訓練事故の原因を究明することは、自衛隊の危険な訓練の実態を明らかにし、ブレーキをかけることになります。海上自衛隊では、前記事件発生後、徒手格闘訓練を止めています。
 息子さんを失ったご両親の思いは、「二度とこのようなことが起きないように」ということにあります。
 軍事裁判所がない日本においては、本裁判は普通裁判所で市民傍聴の下で行なわれます。自衛隊が「本格的に戦争する軍隊」にされていくとき、自衛隊員の人権は必然的に侵害されていきます。この裁判は、市民レベルで、自衛隊に対してシビリアンコントロールを働かせるたたかいだと考えています。

<次回期日>
・日時:2011年2月25日(金)午前10時
・場所:札幌地方裁判所
ご支援の程、宜しくお願い致します

弁護士 笹森学の書評コーナー
 

「闇金ウシジマくん」 真鍋昌平 小学館(20巻まで発売中)

闇金ウシジマくん

◆丑嶋ことウシジマ君はカウカウ金融の若き社長。カウカウ金融はトイチが当たり前の「闇金」である。

◆私は仕事柄闇金業者に電話することがある。慣れた業者は「あ、そう」で終わりだが弁護士相手に憂さを晴らす新参者もいる。その時体験する負い目を煽って追い詰める彼らの話術の巧みさには舌を巻く(その挑発に乗ってキレた修習生もいた)。ただ弁護士は電話一本で事を済ませたと思っているがその後の現実を知ることはない。

◆「闇金ウシジマくん」はその現実、われわれ弁護士が見ないふりをする世界で生きる人々の現実を描くマンガである。

◆借金で欲望を満し返済のため欲望を我慢する。それができずにまた借金を重ねて自由を失う。自由を買うため平気で人を売る。金と欲と暴力にまみれて生きる人間の醜悪な姿が圧倒的リアリティで突きつけられる。

◆その現実に底抜けの不安に苛まれる。傷口に塩を塗られ、あるいはガラスを爪でひっかく音を聞かされ続けているような気分を味わう。

◆新自由主義にシフトした弱肉強食の日本の現実を情け容赦なく活写したマンガである、という言葉にウシジマ君なら「あん?何きどってんだ」と言うだろう。


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