北海道、札幌を中心とした北海道合同法律事務所が発行する「事務所通信:北の峰」の2006年 新春号をご紹介致します。

 北の峰のご案内

巻頭言  


 お正月は、政治の現状や進路、国民生活が、どっちに向かって進んでいるか、じっくり考えてみるチャンスです。

 安倍総理は就任早々、政治家が過去の戦争の歴史を語るのは謙虚でなければならないと言って、口をつぐんだ。総理になる前は、日本の歴史教科書を自虐的だと激しく罵り、靖国史観に傾倒して侵略戦争肯定、再軍備、海外派兵の積極推進を公言していたのに。改憲後の日本がどう進むかにも、口をつぐむ。
 その理由は、歴史が正直に語る。第一次世界大戦で敗れたドイツが世界一と評価される民主憲法を制定した(一九一八年)。その後の選挙で勝利したヒトラーがこの憲法を僅か一五年で没にし、かの強暴な独裁政権に変貌、全世界を敵にして一〇年後にドイツを滅亡させる。安倍総理が最も触れたくない改憲の歴史である。
 憲法、教育基本法を変える理由を、「米占領時に作られた法律」との説明以外しない。六〇年間アメリカ従属の日本が言える口実でない。ここでお隣り韓国の歴史を一べつする。六〇年の三分の二は、軍事独裁政権でアメリカの完全言いなり、国民の苦しみも北朝鮮と変わらないと言われていた。それが自力で軍事政権を打倒し、経済発展した。日本史、世界史の勉強は、安倍総理を含め必須である。
 生活の分野も経済大国と言われながら、国民間の格差、就労、年金、社会保障や官公政の汚職、談合、異常犯罪激増など、憲法改正以前の課題山積といえる。政府、政党をこえ主催者国民の声が、確実に政治に反映される工夫が要る。表現の自由はそのすべての大前提である。

2007年 新春 北海道合同法律事務所一同

「イラク戦争反対・真の復興支援を」は世界の声
―ブッシュ政権に審判。日本はいつまで続けるのか―
弁護士 佐藤 博文

 昨年9月、5年目の「9・11米国同時テロ」に先立ち米政権が発表した『テロと闘う国家戦略・改訂版』は、「米国はより安全になった」「アフガニスタンとイラクをテロから解放した」と結論づけていた。しかし、その僅か2カ月後、11月7日に投開票された米国中間選挙で、共和党は12年ぶりに上下両院で半数を割る大敗を喫し、ブッシュ大統領は、翌日イラク戦争の実行責任者ラムズフェルド国防長官を更迭した。


DAYS JAPAN 2004.11
家族が殺され、自らも重傷を負った家の跡で

 新議会の下院議長になるペロシ民主党院内総務は、多数派を奪還することの最大の意味を「(議会による強制力を伴った調査機能である)召喚権を手に入れることだ」と述べ、イラク戦争の戦争責任などについて公聴会を次々に開いていくことを示唆した。イラク戦争国際法違反、侵略戦争の実態、隠された戦争被害、経済利権などが明らかにされていくだろう。

DAYS JAPAN 2004.08
息子の死体と面会する母親

 米英のイラク戦争開戦に反対した仏、独等のヨーロッパ諸国は、この間、ブッシュの「対テロ戦争」の煽りを受けた国内の民族・宗教的対立を含みつつも、イスラム諸国との対話と協力の路線を進め、政治・経済の安定と発展を保ってきた。

 このブッシュの「対テロ戦争」に対して、「人道復興支援」と称して、あるいは遂行する多国籍軍に対する「安全確保支援活動」という名目で後方支援してきた日本の責任が、いま世界から厳しく問われている。イラクが内戦状態であることは、国連はもとより米国政府も事実上認めている。ここに、陸上自衛隊は撤退したものの、航空自衛隊がイラク全土で米軍物資や兵士の輸送に、いまこの瞬間にも行っているのである。これが米国のイラク侵略戦争への全面協力でなくて何であろうか。


英医学雑誌ランセットは、イラク戦争の死者は六五万人に上ると試算した。この数字を、憲法九条と平和的生存権を有する私たち日本国民は、どう受け止めるべきか。いま日本国民一人一人が考えよう。


DAYS JAPAN 2006.11

 亡箕輪登さんが提起してはじまった自衛隊イラク派兵差止訴訟は、今年は、イラク侵略戦争に対する国際的レベルでの検証と並行して、自衛隊の活動を徹底的に検証する審理を行って、結審、判決を迎える見通しである。市民の皆さんのご支援とご協力を心からお願いしたい。

「難産!」札幌市・子どもの権利条例
愚かなる大人たちよ 恥ずかしくはないか
弁護士 内田 信也
札幌市子どもの権利条例 制定検討委員会委員長

一、 私は、「札幌市子どもの権利条例制定検討委員会」の委員長として、平成18年5月30日に上田市長へ、「最終答申」を提出しました。これは、私た
ち25人の検討委員と32人の子ども委員会が全身全霊をかけてつくった全国に誇れる「自信作」です。ですから当時は誰
もが子どもの権利条例は「もうすぐ誕生!」と思っていたのです。ところが、残念なことに、師走になっても「誕生」はおろか、
「予定日」(?)のメドすらついていません。
 理由は簡単です。札幌市議会の過半数を占める自民党と公明党が条例制定に反対しているからです。ところが、条例の内 容について具体的に議論した上での反対ならまだしも、内容に踏み込むこ となく、(1)市民に条例制定の意義が充分浸透していないので時期尚早である。(2)子どもには権利よ りも責任・義務を教える方が大切である。(3)子どもの権利を認めるとそれを悪用する子ども・保護 者・教師が必ず出てきて教育現場に混乱をもたらす……挙げ句の果てには (4)子どもの権利はアジア・アフリカなどの戦争と貧困の世界のものであって豊かな日本には関係 ない……などといった大変レベルの低い、耳を疑い、目を覆いたくなるような「反対理由」が恥ず かしげもなく委員会の中で語られているのです。

二、 札幌市も含め、今の日本はお世辞にも「子どもにやさしい社会」とは言えません。社会全体の子 どもたちを育む力が急速に衰退しつつあるように思えます。国連子どもの権利委員会の勧告にもか かわらず、子どもにやさしく向き合おうとせず、絶望の縁に追い詰めるようなことばかりしています。その最たるものは教育基本法を改正して「戦争をする国と人づくり」を狙っていることでしょう。
 「子どもの権利を尊重する」ということは、子どもの育つ力と可能性を信じて、やさしいまなざ しで、子どもたちを育むということです。私たちの「最終答申」に基づいた「札幌市子どもの権利条例」が制定され、その 心が日常生活の中で活かされることによって子どもに笑顔と希望がもどってきます。
 それとともに、大人の中に「札幌の未来を子どもとともに考えよう」という意識が少しずつ広が っていき、その結果、子どもも大人も幸せな、平和で世界につながる街・札幌が生れることを確信します。
 私たちは、そんな思いをこめて最終答申をつくりました。

三、 私たちは、最終答申をつくるまでの一年間で、たくさんの子どもたちの声を聴きました。子ども たちは、皆、子どもの権利条例を制定することに大賛成!でした。中には、「こんなに私たちのことを思ってくれてありがとう」 という嬉しいメッセージを送ってくれた子もいました。誰一人として反対した子どもはいなかったのです。
 子どもの権利条例の制定は、上田市長の公約ですが、来年の市長選挙を控えて、自民党と公明党 は上田市長を利することになるだけの子どもの権利条例は制定させない、というのです。子どもた ちが待ち望んでいる権利条例が、みにくい大人の政争に巻き込まれていることに大変怒りを覚えます。

四、 子どもの権利に対し顔をしかめ、子どもの力を信じることのできない大人たちというのは、自分 の生き方に自信のない人たちなのだと思います。
 もし、子どもの権利条例を制定することができないなどということになったら愚かな議員たちだ けでなく、そんな議員をもった札幌市民全体の恥辱です。それを肝に命じて、一日も早く、子ども の権利条例が制定されるよう、みなさんのお力をお貸しください。

憲法改悪と闘う 弁護士 佐藤 哲之

◆ 教育基本法と自衛隊法が改悪された!
 昨年12月15日、残念ながら、教育基本法と自衛隊法が改悪されてしまいました。
 教育基本法改悪は、子どもの内心の自由を踏みにじって「愛国心」を強制し、 国家権力による教育内容への無制限の介入に道を開き、教育の自由と自主性を侵害することになります。
 自衛隊法改悪は、「周辺事態への対応」と「国際平和協力活動」を本来任務とすることで自衛隊の海外派兵 を恒久化しようとするものですし、関連する防衛庁設置法改悪で「防衛庁」を「防衛省」に格上げもしました。
 いずれも憲法違反の改悪であり、断じて許されません。


◆ 解釈改憲、違法立法を許すな!
 先の国会では、同時に、明文改憲に道を開く改憲手続法案(国民投票法案)が与党案、民主党案ともに継 続審議とされました。
 改憲勢力は、一方で、「戦争する国」「新自由主義的国家」をめざし、政治スケジュールを決め、明文改憲へ の道をひた走ろうとしています。
 ところが、改憲勢力は、他方で、明文改憲が出来るまで何もしない訳ではありません。憲法に忠実であろ うなどとはさらさら考えていないのです。最近は小選挙区制によって掠め取った「数」の力で憲法を無視して 「何でもあり」の政治を押し進めています。教育基本法改悪や自衛隊法改悪はその最たるものの一つなのです。


◆ どっこい、憲法は生きている!
 もちろん私たちも黙ってはいません。
 私たちは、「九条の会」アピールが言うように、「この国の主権者である国民一人ひとりが、九条を持つ日本 国憲法を、自分のものとして選び直し、日々行使していくことが必要」だと考え、多くの人々と共同し、イラ ク派兵差止訴訟をはじめ、憲法を守り、生かす活動をしてきましたし、今もしています。
 同じ志をもったたたかいの中で、国民総背番号制導入を目指した住基ネットを違憲とした金沢地裁、大阪 高裁判決、日の丸・君が代の強制が思想良心の自由に反するとして起立、斉唱義務のないことを確認した東 京地裁判決、市民の政治的表現の自由を重視し、ビラ配りの自由を尊重しようとした東京地裁判決など全国 のたたかいをはげます成果も上がっています。


◆ 憲法を武器に憲法改悪と闘おう!
 改憲阻止のたたかいは国民一人ひとりが憲法の大切さ、素晴らしさを実感し、自覚することなくしては成 功しません。明文改憲阻止のためにも日々の暮らしの中で解釈改憲、違憲立法を許さず、憲法を生かすたた かいをすることが必要不可欠です。「憲法を武器に憲法改悪と闘おう」ではありませんか。
 そして、今年は選挙の年でもあります。選挙でも改憲勢力に鉄槌を下そうでは ありませんか。

ウィルス肝炎総合対策の推進を求める
国会請願署名にご協力を
弁護士 佐藤 哲之

 わたしたちは、昨年(2006年)6月16日、18年の歳月をかけ、最高裁でB型肝炎訴訟の完 全勝訴判決を勝ち取りました。最高裁は、わが国におけるB型肝炎ウイルスの蔓延は注射針・筒を連 続使用しての集団予防接種と感染防止を怠った国の行政にその原因と責任があるとしたのです。この 判決の意義は、B型肝炎のみならずC型肝炎を含むウィルス肝炎患者・感染者の全てに及ぶものです。

 現在、わが国のB型、C型ウィルス肝炎患者・感染者は350万人以上と推定されていますが、そ の実態は把握されていません。既に肝炎を発症している患者と肝硬変、肝がんに進行した患者たちは 治療とその費用に苦しみ、また、生活の基盤を失うなど経済的にも多くの困難に直面しています。社 会生活上の偏見・差別の解消を含めて、その救済は一刻の猶予も許されないほど深刻かつ急を要しています。

 これまでの交渉では国に自ら責任を認めて患者・感染者の救済を実現する意思がないようです。そ こで、この要求を実現するため、昨年11月21日、日本肝臓病患者団体協議会(日肝協)、B型肝 炎訴訟原告団・弁護団、薬害肝炎訴訟原告団・弁護団などが「ウィルス肝炎総合対策の推進を求める 全国連絡会」(肝炎連絡会)を立ち上げ、100万署名などの行動提起を行いました。

 みなさまのご支援、ご協力をお願いする次第です。

NTTリストラ北海道訴訟・勝訴判決のご報告 弁護士 渡辺 達生

一、 2006年9月29日、札幌地方裁判所は、NTTリストラ北海道訴訟について、原告全面勝 訴の判決を言い渡しました。NTTリストラ訴訟は、札幌、東京、静岡、大阪、松山の五地裁で争 われており、札幌地裁の判決はこの五地裁の中で最初に出されたものです。

二、 NTTリストラ訴訟は、2002年5月に行われたNTTの11万人リストラの違法性を直接 問う裁判です。NTTの11万人リストラとは、巨大企業NTTが利益の極大化のみを求めて、 (1)51才になった社員をすべて退職させ、NTTが新たにつくった地域新会社(OS会社)に30% の賃金ダウン(北海道の場合)で再雇用し、(2)退職に応じない者は、異職 種・遠隔地配転を行うというものであり、この時に、「退職しない」ために、みせしめとして異職 種・遠隔地配転をされた労働者が、裁判に立ち上がりました。

三、 札幌地裁の判決は、原告5人全員について、業務上の必要性がない配転 であったことを明確に認めました。このことは、11万人リストラにおい て行われた労働者の全ての配転について、その業務上の必要性がないことを裁判所が認めたことに ほかなりません。

 戦いの舞台は高裁に移りました。今後ともご支援をよろしくお願いします。

サラ金利用者・被害者の被害回復の闘い、
あなたもいかがですか
弁護士 石田 明義
大通公園周辺をデモ行進

 サラ金など貸金業の利用者は2000万人、うち200万人程度が多重債務に陥っているといわれ ています。多重債務による自殺、失業、行方不明、うつ病、離婚など深刻な被害が発生しています。 解決のためには任意整理や個人再生、破産などの救済方法が役立ちます。

 臨時国会で、サラ金など貸金業者への規制を強化し、不当利得をなくする等の法改正が成立しまし た。これによって、刑事罰のある出資法の上限金利(29.2%)が20%に引き下げられ、これ以 下の金利でも利息制限法上限金利(借入額により15%〜20%)を超えた場合は行政処分の対象と なります。利息制限法違反の灰色金利での貸し付けでも条件を満たせば「有効利息」とする、悪名高 い「みなし弁済規定」を廃止。自殺を後押しする「生命担保」の生命保険契約も禁止。現行の夜間取 立禁止だけではなく日中の執拗な電話・訪問による取り立ての禁止などが改正されます。

 サラ金業界は、利息制限法違反の「灰色金利」で儲けていた「不当利得産業」。過払金返還請求と いう払いすぎた超過利息分を返還させたり、過払金返還を求めるほどの払いすぎになっていなくて も、現在の借り入残額を大きく減少させ、また将来利息を法定金利に適正化させたりすることが可能 です。そのことによって破産の回避、過払金の返還によってほかの残債務を弁済することもできるよ うになります。領収書や契約書がそろっていなくても、業者に取引履歴を請求しやすくなっていま す。是非、自分の債務状況を見直してください。

 低収入、生活費の不足などの場合の低所得者や破産者への低利融資制度など公的支援、サラ金なん か頼らなくてもいい社会保障の充実こそ必要です。更なる被害者救済運動や行政改善や立法運動を強 化しましょう。

労働審判をご存知ですか 弁護士 三浦 桂子

 申立して良かった。解決した翌日、まわりの景色が変わって見えました。 (ある依頼者の感想)

 あなたが、ある日突然解雇されたり、正社員から一年契約社員にならなければ解雇すると言われたら、どうしますか。 納得できない気持ちを持ちつつも裁判にかかる時間や費用を心配して泣き寝入りする人が多いのではないでしょうか。

 労働審判は、2006年4月から始まった労使紛争を解決するための新しい裁判手続で、申立から3回以内で解決を図ろう とするものです。4月から8月末までの申立状況は全国466件、札幌地裁18件、審理期間は平均約63日です(いずれも速報 値)。もちろん、いくら迅速でも、違法な解雇等を低額の金銭支払いで妥協することは断じてできません。今後、この制度を私達の頑張りで有利な解決を勝ち取る ことができるものに育てていく必要があります。

 もし、あなたの身のまわりで納得できない解雇、賃金切り下げ、賃金未払いなどがあったら、泣き寝入りせずに、是非 弁護士にご相談ください。働く者の誇りを取り戻すための方法が一つ増えました。

カンボジア現地調査報告 〜人身売買の根絶に向けて〜 弁護士 芝池 俊輝

 2006年10月3日から9日まで、ヒューマンライツ・ナウのスタッフとして、カンボジアでの人権調 査に参加しました。ヒューマンライツ・ナウは、主にアジア地域における人権分野での国際貢献活動や、国 内での国際人権基準の実現のための活動を行うことを目的として今年の7月に設立されたばかりの国際人権 NGOで、私も事務局員の一人として、その活動に関わっています。

 今回の現地調査では、カンボジアにおいて深刻な社会問題となっている人身売買に焦点を当てて、関係省 庁、UNICEFなどの国連機関、現地の弁護士、NGOを訪問し、被害者が置かれている状況、人身売買 が蔓延る背景などについて意見交換を行いました。

 カンボジアでは、毎日、膨大な数のカンボジア人女性が性的搾取のために100ドルにも満たない金額で タイやマレーシアに売られていきます。人身売買の被害者は女性だけではなく、カンボジア人男性は、農業 や漁業の労働力としてタイへ売られ、さらに、幼い子どもたちは、男女を問わず、 物乞いのために自らの意に反してタイやベトナムへと国境を越えて行きます。人身売買によって、被害者は 人間の尊厳を奪われるだけでなく、過酷な労働やエイズ感染などによって生命・身体の自由が危険に晒され ることも少なくありません。また、保護された場合でも、精神的・肉体的に傷ついた被害者が社会へ復帰するこ とは容易ではありません。このような状況の下、政府や国際機関、多くのNGOが様々な観点から人身売買 の根絶に向けた取り組みを行っていますが、人身売買の問題は、農村を中心とした貧困、福祉 制度の欠如、法律の不備、腐敗などといった様々な要因が複雑に絡み合っているため、未だ解決の兆 しは見えていません。

 現在、カンボジアでは、人身売買を取り締まる包括的な法律の起草が進められています。こ の作業には日本の弁護士が協力しているということもあって、司法省や現地のNGOなどから、我々に対し て、新しくできる法律の実施・啓蒙(弁護士や裁判官、警察などの教育や法律に関するマニュアルの作成など) を支援して欲しいとの声が寄せられました。ヒューマンライツ・ナウとしては、今回の調査の結果をふまえ、 彼らの要請に応えられるよう、現地の弁護士・NGOと連携しながら、具体的なプロジェクトを実施してい きたいと考えています。

 なお、ヒューマンライツ・ナウでは、人身売買ほか、平和構築や開発援助と人権などの問題にも取り組 んでいます。一緒にプロジェクトを担っていただける方、会員として活動を支援していただける方を募集していますので、私たちの活 動にご関心をお持ちの方は、ホームページ(http://www.ngohrn.org/)をご覧いただくか、 私までご連絡下さいますようお願いします。

貧困と戦乱の国エチオピア 弁護士 加藤 丈晴

 昨年の夏、12日間かけて、エチオピアとケニアに行ってきました。

 エチオピアは、アフリカ東部の「アフリカの角」と呼ばれる部分にある内陸国です。北のエリトリアとの 間では国境紛争を抱え、東のソマリアは内戦中で無政府状態。エチオピア国内も反政府勢力と政府軍との衝 突や、部族間抗争が度々起きています。

 またエチオピアは世界最貧国の一つでもあります。しかし人々はみんな温和で、 人なつっこい人たちばかり。どこに行ってもたちまち子供たちの人だかりができて、 「ハロー!」「ユー! ユー!ユー!(YOU"のこと?)」の大合唱!!

 またエチオピア南部は民族の宝庫で、唇にお皿をはめ込んだムルシ族の姿は、 テレビなどで見たことがある方も多いのではないでしょうか。伝統的家屋で、昔と変わらぬ原始的な暮らし を続ける人々のすぐそばで、自動車が走り、携帯電話が鳴るのです。

 私が一番驚いたのは、子供たちの教育に対する欲求の強さです。子供たちは、一つの教室に100人以上 が詰め込まれ、1冊の教科書を数人で使います。子供たちのおねだりは、食べ物でもおもちゃでもなく、辞 書なのです。大学に行くために援助をしてくれと真顔で言われたこともあります。

 この国では、教育こそが希望であり、生き抜くための武器でもあるのです。

弁護士 笹森学の書評コーナー
 

「人生という旅」 小檜山 博 (2004年、講談社)

◆ 安倍首相は新保守派と呼ばれている。安倍政権の拠って立つ支持層の思想は一体どんなものなのだろうか? 真面 目に働く者が報われる社会とは程遠い優勝劣敗のパンドラの箱を開けた小泉首相の後釜に座った安倍首相は、パンド ラの箱を閉めもせず、再チャレンジ・システムをと口走り、格差を固定化して国民を身分 化し、不信と不安を煽って核武装にまで道を拓こうとしている。これらが本当に市井の 人々の思想を代弁しているのだろうか。「美しい国」の国民は何を考えているのだろうか?

◆ わが郷土作家の小檜山博の、この本で語られている市井の人々の人生は、優勝劣敗に対 し無言の抗議をしているように思えてならない。親きょうだい、ご近所、すれ違った人 を忘れず見捨てない世のあり方が描かれている。当たり前の市井の人々の佇まいが、沈 黙の熱いドラマとなって語られている。「人の情け」と「世の情け」の二章からなる珠玉 の断片。胸熱くして「さあ、明日からまた頑張ろう」と思わせてくれる。


弁護士紹介取扱分野Q&A