北海道、札幌を中心とした北海道合同法律事務所に寄せられる、「労働問題」についての質問集のご案内です。

Q1: 【解雇】
 勤務先の会社の社長に、突然、「君はもうクビだから、明日から来なくて良いよ。」と言われました。理由を聞いても、「社長の自分が辞めろと言っているのだから、理由なんていらない。」と、何の説明もありません。私は、会社を辞めないといけないのでしょうか。

 社長が辞めろと言っているだけでは辞める必要はありません。
解雇をすることが認められるためには、解雇に「客観的に合理的な理由」があって、「社会通念上相当と認められる場合」でなければいけませんので、理由もなく解雇をすることはできません。
請求をすれば、使用者である会社は、解雇の理由を記載した証明書を出さなければならないとされていますので、まずは解雇の理由を確認した上で、不当な解雇であれば、裁判などでその効力を争っていくことが可能です。
なお、解雇が正当な場合でも、会社は、少なくとも30日前に解雇を予告するか、解雇予告手当として30日分の賃金を支払う必要があります。
 解雇を言い渡されたけれど納得がいかない、という場合には、ぜひ一度ご相談ください。

Q2: 【退職届と失業保険】
 会社から解雇を言い渡されましたが、なぜか退職届を書くように言われました。断ると、「退職届を書かないと、失業保険が出ないよ。」と言われました。私は、退職届を出したほうがいいのでしょうか。

 退職届を書かなくても失業保険は出ます。むしろ、退職届を書くと自己都合退職となり、失業保険の給付を受けるまで3か月間待たなければなりませんし、解雇の場合より給付日数が少なくなることがありますので注意が必要です。
 また、会社を辞めることについて納得がいかないのであれば、退職届を出すべきではありません。解雇を言い渡されても、不当な解雇であればその効力を争うことが可能ですが(Q1をご参照ください)、会社の求めに応じていったん退職届を出してしまうと、後から撤回することや効力を争うことはなかなか困難です。
退職を迫られたら、退職届を出す前に、まずは弁護士にご相談ください。

Q3:  【派遣労働者の解雇】
 私は、派遣社員です。ずっと同じ工場に派遣されて働いていましたが、ある日、工場を閉鎖するから解雇すると言われました。まだ契約期間の途中なのですが、工場が閉鎖される以上、仕方がないのでしょうか。

 派遣労働の場合にも、「やむを得ない理由」がない限り、契約期間の途中で解雇をすることは認められません。
 そして、今の派遣先では働き続けられなくなったという場合でも、派遣会社には他の派遣先を探す義務がありますので、いきなり解雇することは許されません。派遣先の工場が閉鎖されるのであれば、まずは、他の派遣先を紹介してもらうようにしましょう。
 それでも派遣会社が解雇を撤回しない場合には、解雇の効力を争って、契約期間満了までの賃金を請求することが考えられます。一度、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

Q4:  【残業代の請求/タイムカード】
 私の会社はサービス残業がかなりあります。もう我慢できないので、これまでの残業代を全部請求したいのですが、うちの会社にはタイムカードがありません。この場合、残業代の請求は無理なのでしょうか。

 必ずしもタイムカードが無くても、出退勤時刻を記録したメモ等があれば、請求できる可能性もあります。メモをつけるところから始めましょう。
また、近年はIT化が進んでいます。パソコンのログイン・ログアウトの時間、データの保存時間、メールの送信記録、警備会社の入出社データなども証拠になり得ます。客観的に記録を残すことが大切です。タイムカードが無いからといってあきらめず、まずはご相談ください。

Q5:  【残業代請求/管理職】
 私の会社は、残業がかなりあるのですが、「きみは管理職だろう。役職手当も出しているから、残業代は支給しない」と社長が言っています。本当に残業代は請求できないのでしょうか。

 労働基準法37条は、原則として1日8時間・週40時間を超える労働に対しては、25%の割増賃金を支払うこととしています。残業代を支払わなくてよいとされるのは、上級管理職など「管理監督者」と呼ばれる人たちのみです。従って、基本的には、管理監督者に当たらなければ、残業代を請求することができます。
 勤務先で「管理職」とされていても、法律上の「管理監督者」に当たるとは限りませんので、一度、弁護士に相談していただくことをお勧めします。

Q6:  【残業代請求/固定残業代制度】
 私の会社は、残業がかなりあるのですが、「うちはすでに残業手当として残業代を支払っているだろう」と社長は言っています。本当に、残業手当以上の残業代は請求できないのでしょうか。

 この会社の社長さんが言っている「残業手当」は、いわゆる「固定残業代制度」という問題です。「残業手当」のほかにも「営業手当」、「役職手当」、「技術手当」など名目は様々ですが、その定額手当が残業代の代わりだとする制度です。ですが、この固定残業代制度は、決して安価な定額手当によって、労働者を長時間働かせることを許すものではありません。実質的に見て、その定額手当が残業代としての性格を有していること、また、定額手当(残業代部分)とそれ以外の賃金部分とが明確に区別できることなど(定額手当に「○○時間分の」「○○円の」残業代が含まれていることが明らかになっている場合など)の要件を満たす必要があり、多くの場合、固定残業代制度は上記の要件を満たしていない可能性があります。労働契約書や(可能であれば)就業規則等をお持ちになって、ぜひ弁護士にご相談ください。

Q7:  【残業代請求/時効】
 もし、残業代請求ができるなら、会社にはこれまで10年間分の残業代を払って欲しいのですが、可能でしょうか。

 労働者の賃金請求権は2年で時効にかかります。ですから、本来の給与支給日から2年を経過すると時効にかかり、支払いを受けられなくなる可能性があります。残業代請求をお考えの場合には、早急に弁護士にご相談ください。

Q8: 【仕事中のミスによる損害賠償請求】
 仕事中にミスをしてしまい、社長に「会社に損害を与えたのだから、その分給料から天引きだ。」と言われました。この場合、私の給料から天引きすることは許されるのでしょうか。

 そもそも、些細な不注意で生じるミスの場合は、通常起こりうるリスクとして会社側もその程度は織り込み済みのはずですから、損害賠償請求権は発生しません。ですから、飲食店で働く従業員が食器を割ってしまった、という程度のものであれば、そもそも損害賠償義務自体が発生しません。
 仮に損害賠償義務があっても、損害の公平な分担という観点からあなたが負担する金額は制約されます。
 また、あなたが負担する金額が確定していたとしても、賃金全額払いの原則(労働基準法24条1項)から、あなたが真意に基づいて同意をしない限り、会社が一方的に給料から損害賠償として天引きすることは許されません。ですから、あなたとしては、社長に、「天引きには同意しません」とキッパリと断りましょう。
 ただし、社長に直接言うのは荷が重いという場合は、損害賠償義務の有無・程度を決め、給料の天引きへの不同意を伝達するため、弁護士にご相談ください。

Q9: 【いじめに関する勤務先の責任】
 職場の上司からいじめに遭い、会社を辞めることになりました。会社に対し、慰謝料を請求したいのですが、会社は、いじめはその上司と私の問題だから会社は関係ないと言ってきています。本当に会社は関係ないのでしょうか。

 職場の上司が、勤務中にいじめを行っている以上、会社も責任を負う場合がほとんどです。会社は関係がないということはありません。  そもそも、上司のいじめが不法行為を構成する場合、会社は使用者の事業に関連して生じた不法行為責任として、損害賠償義務を負うことがあります(民法715条)。  また、会社は、あなたとの労働契約に伴って安全配慮義務を負っています(労働契約法5条)。職場でいじめなどがある場合、いじめている従業員を指導し、部署を異動するなどの良好な労働環境を調整する義務などがあります。  会社は、上司がいじめを行っていることを知りながら何の対応もしなかった場合、安全配慮義務・労働環境調整義務を履行していなかったことになり、損害賠償義務が生じます。  いじめを放置しておくと、あなたの他にも上司からのいじめを受ける従業員が出てくるかもしれません。一人で対応することが困難なときには、弁護士にご相談ください。

Q10: 【労災】
 私の夫が、勤務中に大けがをしました。仕事中の事故だから会社にも責任があるのではないかと思うのですが、会社側は、こういうときは労災申請をするもので、会社は関係ないと言っています。会社の責任を追及することは出来ないのでしょうか。

 たしかに、勤務中に怪我を負った場合、労災申請を検討すべきですが、それとは別に、会社に対して損害賠償を請求することも十分に考えられます。会社は関係がないということはありません。
 会社は、あなたとの労働契約に伴って安全配慮義務を負っています(労働契約法5条)。業務上の危険から労働者の生命・健康等を守るという義務です。会社がこの義務を怠った場合は、会社は損害賠償義務を負います。
あなたの夫が勤務中に大けがをしたのであれば、労働環境に何らかの問題があったのかもしれません。その場合、あなたの夫は会社に対して損害賠償請求をすることができます。労働環境の問題の有無、損害賠償の手続や・内容について、弁護士にご相談ください。


弁護士紹介取扱分野法律相談のご案内